「生きる」を創るエコシステム戦略
「『生きる』を創るエコシステム戦略」は、当社の強みであるコアビジネス(生きるための保険)に留まらず、職場や学校、患者団体やNPO、企業、さらには行政機関などのさまざまなステークホルダーと連携・協業して、がん・医療・介護などに関するさまざまな社会的課題に対するソリューションを総合的に提供していくことを目指します。
これによって、保険の機能だけでは解決できない社会的課題を解決し、誰もが安心で健やかに自分らしく生きる社会の実現を目指していきます。
キャンサーエコシステムの概念図
通常生活から、がんの診断が下され、告知、治療、治療後の生活とつながっていくサバイバージャーニー(がん患者がたどる人生の道のり)において、患者とそのご家族を中心として、医療者、職場・学校、行政、民間団体、企業などさまざまなステークホルダーが連携・協業する「キャンサーエコシステム」を構築することで、がんに関する社会的課題を包括的に解決していくことを目指しています。
「キャンサーエコシステム」を構築していくうえで重要な観点は、当事者(がん患者やそのご家族)本位であるということと、当事者を代弁・支援する相談者や相談の場の存在です。各ステークホルダーがそれぞれの役割のもと、当事者のサバイバージャーニーに寄り添い伴走する、そのようなエコシステムを構築してまいります。
キャンサーエコシステムの構築に向けた取り組み
「『がん患者本位のエンゲージメント』を考える会」(以下、本研究会)の議論をまとめた書籍「『がん患者本位のエンゲージメント』を目指して~がん患者が社会で自分らしく生きるための3つのビジョン~」が、2021年1月に株式会社日経BPから発行されました。本書は、本研究会ががん患者とそのご家族が抱えるさまざまな悩みや問題(ペインポイント)について、2018年5月の発足から約2年にわたり議論してきた内容を提言としてまとめた報告書で、当社は本研究会の事務局を務めました。
当社は、本書で提言されている3つのビジョンと10のアクションの実現・実行に向けて、がん患者を取り巻く社会的課題を包括的かつ総合的に解決するために「キャンサーエコシステム」の構築に取り組んでいます。
本書で提言されている3つのビジョンと10のアクション
- ビジョン1 社会全体でがん患者を生涯にわたって支える
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- 1さまざまな関係者による相談機会や情報の積極的な提供
- 2がん患者の状況や悩みに応じた「開かれた相談の場」の提供
- 3がん患者への就労支援と経済的支援制度の周知
- ビジョン2 一人ひとりが安心して納得できる医療/ケアを受けられる
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- 4さまざまな医療者によるがん患者本位のコミュニケーションの実現
- 5病院内におけるチーム医療の普及と定着
- 6地域における終末期を含めた総合的なケアの提供
- 7一人ひとりに合わせたがん医療の普及と周知
- ビジョン3 がん患者が主役となって自分らしく生きるための素養とスキルを身に付ける
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- 8医療/ケアを受ける時の基本的な素養の習得
- 9正しい医学情報を提供する仕組みと場の整備
- 10がん教育の普及と充実
キャンサーエコシステムの構築に向けた取り組みの概要
- 「開かれた相談の場」への支援
- がんを経験した方ががんになっても自分らしくあるために、不安や寂しさなどを受け入れ、精神的に支える「開かれた相談の場」が社会に必要と考えています。アフラックでは、マギーズ東京(東京都江東区)や元ちゃんハウス(石川県金沢市)などの「開かれた相談の場」の取り組みに対して、アソシエイツとともに支援しています。
- 小児がん・AYA世代がんの啓発と支援
- 小児がんを経験した方の就労機会を創出するため、アフラック・ハートフル・サービス株式会社と共同で、小児がんに関する講演活動や情報発信などの啓発活動を行っています。また、罹患者が少なく世の中での認知が少ないAYA世代のがんについて、「AYAがんの医療と支援のあり方研究会学術集会」をはじめとするさまざまな活動を支援することで、社会に対するAYA世代がんの啓発に取り組んでいます。
- がん経験者の就労支援
- 社内ピアサポーター養成事業WorkCAN’s*や、がん就労電話相談「就労ほっとコール」の運営協力を通じて、がんを経験された方の就労継続を支援しています。また、厚生労働省が推進する「がん対策推進企業アクション」に参画し、当社におけるがん・傷病就労支援の共有等を通じて、企業におけるがん治療と仕事の両立の充実に取り組んでいます。
- *WorkCAN’sは、一般社団法人CSRプロジェクトの登録商標です。
- サポート情報の提供
- オフィシャルホームぺージの「給付金・保険金のご請求」ぺージで、がんに関する情報、相談の場、がん経験者のコミュニティサイトなど、がんに罹患された方とそのご家族のサポートに関する情報をご案内しています。
- 各種資材などを活用したがん検診受診率向上の取り組み
- がん検診受診を推進するためのチラシ・ポスター、子宮頸がん検診受診や乳がんセルフチェックを啓発する動画等を制作し、自治体やビジネスパートナーを通じて検診の重要性を訴求しています。
- がんに対する正しい理解促進の取り組み
- がんに対する正しい理解とがんの「早期発見・早期治療」の大切さを知っていただきたいという想いで、いつでもどこでもがんについて学べるWeb版「なるほどなっとく がんを知る教室」をリリースしました。「がんの国語」「がんの算数」など、学校の教科ごとにがんの基本的な情報を解説するコンテンツや、学習指導要領に則した「がんのクイズ」などのコンテンツを通して、分かりやすくがんについて学ぶことができます。
また、学校においてがん教育が義務化される中、大人にもがんに対する正しい知識を届けることを目的に、放射線治療・緩和ケアの専門医と「大人も子どももがんを知る本」を作成しました。二人に一人ががんになる時代を生きるために必要な知識、がん就労支援の重要性、HPVワクチン、オプシーボ等の最新の薬物治療法や「心の痛み」のケアなどについて分かりやすくまとめており、教職員への研修会やがん検診受診の推進の場等で活用しています。
- 学校へのがん教育の積極的な展開、動画ツール等の作成
- 地方自治体と連携し、がん教育やがん検診受診啓発に取り組んでいます。小中学校や高等学校に対して外部講師によるがん教育を実施し、がんに関する正しい知識や命の大切さを伝えるとともに、生徒を通して保護者や地域の方々へのがんの理解促進を図っています。また、地方自治体と協業して、地域の大学にがん検診啓発動画やWeb版「なるほどなっとく がんを知る教室」などを提供し、大学生に対してのがん教育も実施しています。
- 教職員向け「がん教育」研修の開催
- 文部科学省による新学習指導要領へのがん教育の実施に関する事項の明記、そして政府によるがん対策推進基本計画における外部講師を活用したがん教育の推進が図られているなか、教職員におけるがん教育のリテラシー向上を目的に、中・高等学校の教職員を対象とした研修会を実施しました。外部講師による模擬授業及び解説、罹患経験のある当社営業社員の講演、「大人も子どももがんを知る本」の配布、乳がん触診モデルなど当社独自のがん啓発展示物を通じて、多くの教職員にがんの実態及び授業を行うポイントの理解促進を図りました。
消費者志向経営優良事例表彰 消費者庁長官表彰を受賞
当社は、消費者庁が実施する「令和4年度消費者志向経営優良事例表彰」において、「消費者庁長官表彰」を受賞しました。
本表彰は、「消費者」と「共創・協働」して「社会価値」を向上させる「消費者志向経営」の推進を図ることを目的に、平成30年度から毎年実施されており、これまで延べ24事業者が表彰されています。
当社が取り組んでいる「キャンサーエコシステムの構築」において、「がん」を単なる「病気」ではなく、当事者を取り巻く「状況」の問題と捉え、医療者だけでなく、患者団体、学校、企業、行政機関などと協働して、がんに関するリテラシーの向上やがん患者のサポートなどがん患者やそのご家族が直面する幅広い課題の解決策を共創していることが評価され、今回の受賞に至りました。
今後も「キャンサーエコシステム」をはじめとする「生きる」を創るエコシステムの構築など、幅広くお客様や社会のお役に立てるよう、さまざまな領域の取り組みにおいて、お客様志向自主宣言を確実に実践していきます。